リッチレディ

テレワークで女が稼ぐ夜

マストのないヨット

プリンセスゆみの
世界巡航記

それから2日かかって
私たちのヨットの
出航準備が整った。

出航するわよ

私は、妹に命令した。

このヨットは、
私の所有で
私が船の運航には
全責任を持っている。

なので、
船長は私だ。

造船所の人が
ポンツーンに舫われた
船の舫いを外してくれて
ヨットは岸壁を離れた。

お姉ちゃん、
マストが立っていないよ。

妹のゆみは、
ヨットのフライブリッジで
操船している私に言った。

ヨットのマストは、
横になったまま
船体の上に寝かされていた。

ヨットは、
船体の上に立ったマストに
セイルを上げて
風の力で走る。

マストが立っていないと
セイルを上げられない。

ゆみは、
マストが横になったままなので
どうやってセイルを上げるのか
不思議に思っていた。

マストは横にして
おいていいのよ

セイルは、
どうやって上げるの?

ゆみは、私に質問した。

パリに行きたいんでしょう?

私は、船を操船しながら
妹に答えた。

造船所は、
南フランスの沿岸に在った。

パリは、
フランスの中心地
内陸に在った。

船は、
造船所の沿岸を離れると
しばらく沿岸沿いを
ゆっくりとエンジンで
走っていた。

沿岸沿いの先に
広い海上があった。

あそこまで行ったら
セイルを上げるのよね

妹は、
船が進む方向を
確認しながら考えていた。

あそこまで行ったら、
お姉ちゃんの合図で
セイルを上げるのよね。

ゆみは待機していた。

マストは、
船体に横になっていて
海に落ちないように
しっかりロープで
結ばれていた。

横になっているマストに
どうやってセイルを上げるのか
ゆみには、わからなかった。

わからなかったが、
お姉ちゃんの合図があったら
いつでもセイルを上げるつもりで
デッキの上に待機していた。

沿岸沿い先の
広がった海上に着く手前で
ヨットは右に曲がった。

右に曲がると、
そこは川になっていた。

姉の操船するヨットは、
川の中央を直進していた。

川の入り口には、
大きな橋が架かっており
橋の上を車やトラックが
走行していた。

その橋の下を
ヨットはくぐっていた。

海に出ないの?

パリはフランスの内陸よ

ヨットは、
海には出ずに
川の上流を目指すようだ。

運河クルーズ

姉の操船するヨットは、
セイルを上げずに
エンジン、機走だけで
川を進んでいくようだ。

ずっと川を走るの?

私は妹に頷いた。

そうか、
川には橋があるから
マストが立っていると
ぶつかってしまうから
横にしてあるんだ。

ゆみは姉に言った。

そう、大正解。

セイルはどうするの?

ゆみは、姉に質問した。

セイルは使わないわよ。

使わないんだ。

ゆみは姉に頷いた。

ゆみは、
この姉の言葉を
誤解していた。

姉は、
まさかそんな風には
思わないだろうと
説明を省いていたが、

ゆみは、
ヨットで旅をすると
姉から聞いていたけど

セイルを使わずに
ずっとエンジンだけで
クルージングするとは
思っていなかった。

そうなんだ。
エンジンだけで走るのね。

ゆみの
大学のヨットでは
エンジンなんて
付いていないから
機走だけで走るなんて
到底無理だった。

お姉ちゃんの、
このヨットならば
エンジンもあるし
キャビンだってある。

セイルも上げないし
ロープを引く必要もない。

こんな楽な
クルージングが
できるのだ。

旅の目的

この旅の目的は、
野生動物をスケッチ
することだ。

野生動物がいっぱい
といえばアフリカだ。

ゆみは、
姉からマストは立てず
エンジンだけで旅する
と聞いて、

フランスだけじゃなく
アフリカまでも
エンジンだけで行くのだ
と思っていた。

重たいロープを
引っ張らなくていいから
手も痛くならないし
楽できると思った。

よくヨットで世界一周した
という話を聞くけど

実際には、
世界には川もいっぱいあるし
川には橋も架かっているし
みなエンジンで走っているのね。

セイルを引いたり出したり
ヨットで世界一周と聞くと
大変過酷な旅を想像するが
実際には楽なところも
いっぱいあるのね。

ゆみは、
そのことを知ったのだった。

自分でクルージング
してみないと
わからないものね。

ゆみは、
いま、姉の操船で
川を走りながら
そのことを実感していた。

妹の顔を眺めながら
私はヨットを操船していた。

まさか、
妹がヨットのクルージングを
エンジンで進む旅だと
理解しているなんて
思いもせずに。

妹の顔を眺めていた。

夕方前、
少し川幅の広いところに出た。

今日の宿泊場所

私は、
ヨットを川の岸壁に停めた。

今日のクルージングは、
ここまでで終了にして
ここでお泊まりしよう
と、ゆみに伝えた。

続きは次のページ
進みましょう


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