レディーステレワーク

テレワークで女が稼ぐ夜

パリの灯

プリンセスゆみの
世界巡航記

ゆみは、
ヨットを操船して
運河を進んでいた。

ゆみ、
見てごらん!

祥恵は、前方を指差して
ゆみに声をかけた。

あれってエッフェル塔?

ゆみは、
姉が指差す前方を
確認して言った。

うん、
エッフェル塔!
ようやくパリに戻ってきたね

祥恵とゆみが
ヨットのお風呂に入った
あの夜から、

もう3日経っていた。

私が、
いくつものロックを
操作するのに
疲れたり、

ゆみが、
一日じゅう
ヨットを操船しているのに
疲れたりで、

1日に
なかなか進む距離を
順調に稼げず時間が
掛かってしまった。

でも、
ようやく今
私たちのヨットは
パリの目の前まで
辿り着いていた。

今夜は、
パリの街でお泊まり
できそうね

祥恵は、
妹に言った。

どこに停めるの?

ゆみは、
ヨットを進めながら
姉に質問した。

ラット代わろうか、

私は、
ゆみからラットを代わると
ヨットを操船した。

パリの運河の中ほどに
川幅が広くなった所があり
そこにボートがたくさん
停まっている
マリーナがあった。

運河の中にある
マリーナには、
ボートに混じって
ヨットも停泊していた。

ヨットは、
マストを横にして
係留されていた。

ここに停めるの?

ゆみは、
姉に質問した。

今日からしばらくは
ここのマリーナで
暮らしましょう。

私は、ゆみに伝えた。

ここからだと、
パリの中心街にも
歩いていける。

ルーブル美術館にも行ける?

さすが、
医大を中退して
美大へ転入し直した
だけあって、
ルーブル美術館に
興味があるようだった。

あそこを見てごらん。

私が、
運河の前方に見える
建物を指差した。

わかる?
あの建物が
ルーブル美術館。

ゆみは、
祥恵が指差した先にある
建物を眺めて感動していた。

あそこなら
ゆみの足でも
全然1人で歩いて
行けるでしょう。

ゆみは、
祥恵に頷いた。

私は、
ヨットを停泊させると
マリーナの事務所に
係留の手続きをしてきた。

ゆみ、もう夕方だし
今日はスーパーに行って
夕食を買ってきて
パリの街の見物は
明日からにしましょう。

ゆみは、
姉と一緒に
マリーナ前のスーパーに
お買い物に出かけた。

フランスのスーパーにも
だいぶ慣れてきた。

カートを押して
スーパーの中を巡り
食料品を調達する。

いつもだと、
ゆみが色々買いすぎると
すぐに棚へ戻されてしまうのに
今日は祥恵の方が
どんどん食料を追加していた。

今日からしばらくは
都会暮らしだからね。

祥恵は、
ゆみに伝えた。

お水もマリーナで
いくらでも補給できるし、

電気も使えるし
陸上と同じ生活できるわよ。

祥恵は、
気兼ねなく
電気も水も使える暮らしに
ほっとしているようだ。

ゆみは、
特に都会暮らしには
こだわりがなかった。

姉と一緒に
ヨットの中で暮らしながら
旅を続けられば
それだけで満足だった。

リモートワーク

ゆみは、
夕食の後
リビングのテレビを
見ていた。

フランス語の番組にも
すっかり見慣れてきた。

祥恵は、
奥のチャートテーブルに
備え付けられた
パソコンを開いていた。

まなみ、聞こえる?

祥恵は、パソコンに
向かって話している。

祥恵、久しぶりね

パソコンの画面の向こうに
小倉まなみがいた。

小倉まなみは、
プリンセストレーディング
の営業マネージャーだ。

あ、まなみお姉ちゃん

ゆみは、祥恵の後ろから
パソコンを覗きこんで
叫んだ。

画面には、
日本の、長野本社にいる
小倉まなみが映っていた。

まなみさん、
元気している?

ゆみは、話しかけた。

うん、元気だよ
ゆみちゃんは元気?
お母さんと離れて
泣いたりしていない?

もう大人だもの。

お母さんと一緒でなくても
1人でお泊まりぐらい
できるよ。

お母さん一緒でなくても
祥恵が一緒だものね

まなみは、
ゆみに答えた。

中等部の頃、
学校の夏の行事で
長野の蓼科へお泊まりに
行ったことがある。

その時、
ゆみも泊まりに行ったのだが
夜中にお母さんがいなくて
寂しくなって泣いて
しまったことがあった。

ゆみは、
ずっと家に帰る
お母さんのいる家に帰ると
泣き喚いていたのだ。

結局、
祥恵の泊まってる部屋に行き
。祥恵と一緒の布団で寝て
事なきを得た

その時、
祥恵と同じバスケ部で
仲の良かったまなみは
祥恵と一緒の部屋だった。

下級生のゆみが
自分たちと同じ部屋で
祥恵と同じ布団で寝ていた
ゆみのことを覚えているのだ。

で、会社はどう?

ゆみとまなみが
話している会話に
祥恵が割り込んで
まなみに質問した。

大丈夫よ、
こちらは何も問題なし

まなみは祥恵に
会社の様子を報告した。

祥恵は、
プリンセストレーディング
の社長、代表だ。

自分たちが
ヨットで旅している間の
会社の様子を確認していた。

アフリカの
カンパラヤードの状況を
まなみは社長の祥恵に
報告していた。

プリンセストレーディングでは、
アフリカに自動車ヤードを
開業させたいという男性と
知り合って、出資して
共同経営でオープンさせていた。

その状況を話していた。

順調そうね。

祥恵は、
まなみから報告を受けて
ほっとしていた。

小倉まなみ

小倉まなみは、
高校卒業後
自動車修理工場の
整備士に就職した。

それから、
修理工場が閉鎖して
フリーランスで
中古車オークション会場
に出入りし、働いていた。

そして、
自動車の海外販売の仕事
を覚えたくて
横浜の貿易会社に再就職した。

横浜の貿易会社では、
ゆみがWEBデザイナーとして
勤務していた。

横浜の貿易会社が閉鎖し
祥恵が無職の妹のため
プリンセストレーディング
を起業した。

その
プリンセストレーディング
に、まなみも合流した。

私も一緒に働きたい

うん、一緒に働こうよ

医大卒の祥恵は、
父の開業した世田谷の
歯科医院で働いていた。

プリンセストレーディング
の事務所は、東京でなく
祥恵が跡を引き継いだ
祖父母の長野の実家で
起業した。

基本、
プリンセストレーディングの
主な事業内容である
自動車の海外グローバルビジネス
テレワークで勤務できる内容だ。

事務所が長野にあろうが
まったく関係なしに
東京の世田谷から
リモートで勤務できた。

はじめ、
小倉まなみも
東京の家から
リモートで勤務していた。

私、長野で暮らしたいな。

長野県、小諸にある家に
引っ越した。

長野本社にいる
小倉まなみと祥恵は
リモートで打ち合わせて
いたのだった。

あ、祥恵さん、
元気ですか。

従業員の森野くんが
まなみと話している
祥恵の画面に気づいて
画面越しに手を振っていた。

みな、元気そうね。

祥恵は、
久しぶりに会った
会社のみんなに
笑顔で答えた。

ゆみちゃんは、
元気ですか?
お母さんと離れて
泣いたりしていませんか

ゆみがお母さんと離れて
お泊まりできないことは
会社じゅうに
知れ渡っているようだ。

祥恵は、
まなみと会社のことを
夜遅くまで話していた。

ゆみは、
バスタブにお湯を張って
お風呂に入る準備をした。

水はヨットでは貴重だ。

お姉ちゃん、
先にお風呂に入るね

ゆみは、
まなみと打ち合わせ
している祥恵に言った。

先に入っていいわよ

ゆみは、
1人でお風呂に入ると
寝間着に着替えた。

おやすみなさい

おやすみ

まだ会社の事で
打ち合わせしている
祥恵を残して
先に眠りについた。

私もお風呂入ってきたら
一緒に寝ようね

リモート会議を終えて
ゆみがもう寝ている
ベッドルームを覗き込むと
ゆみの寝顔に声をかけた。

明日はスカート
着る気なのかな

祥恵は、
バスルームの明日
着る服を置いておく所に
ゆみの服が置いてあるの
見つけてつぶやいた。

そこには、
ゆみのトップスと一緒に
スカートが置かれていた。

祥恵は、お風呂に入った。

足が思い切り伸ばせる
というほど広い
バスタブではないが
お湯に浸かっていると
気持ち良かった。

今日から
一週間ぐらいは、
パリの街、このマリーナに
滞在予定だった。

今日の宿泊場所

お風呂を上がると
祥恵は短い髪を拭いて
パジャマに着替えた。

なんか髪伸びたな

鏡の中に自分の姿を
眺めながら思った。

パリにいる間に
美容院に行ってこようかな。

後ろ髪邪魔だし

祥恵の髪は、
肩につかないぐらいの
ショートヘアだ。

それでも、
長いと感じて
すぐ切ってしまうのだった。

ゆみの髪は逆に、
胸の下あたりまで伸びた
ロングヘアーだった。

毎朝、
祥恵がゆみの髪を
ブラッシングしていた。

自分の髪は、
ショートヘアーで
ほぼ手入れ不要な
楽髪なのに、

妹のゆみの髪は、
ちょーロングヘアーで
毎朝、ブラッシング
していた。

自分が、
美容院で髪を切る時
ゆみも一緒に並ばせて
同じように短く
切ってあげても
良いかなと思うのだが、

ゆみの髪を
短くショートにしよう
ものならば、母親が
必ず文句を言ってくる。

ゆみちゃんの髪は、
女の子らしく長く
ロングヘアーなの。

ゆみ本人よりも、
母親の方がよほど
ゆみの髪に執着していた。

ちなみに、
母親の髪は
私よりも短い
ベリーショートだ。

ゆみの髪は、
女の子らしく長くて
いうけど、自分は
そんなに短いじゃないの。

私が母親に言うと、
母親は自分はおばさんだから
短くていいのよと返事する。

ゆみが、
おばさんになったら
ゆみの髪も
短くするのだろうか。

その話を聞く度に、
私はそう思うのだが
母親にはそのことは
聞けずじまいだった

続きは次のページ
進みましょう


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