レディーステレワーク

テレワークで女が稼ぐ夜

ルーブル美術館

プリンセスゆみの
世界巡航記

私は、
妹のゆみを
ルーブル美術館に
連れていった。

ゆみ、
道を覚えた?

私は、妹の手を握って
美術館に連れて行きながら
話しかけた。

うん、マリーナから近い

ゆみは、
姉に答えた。

ゆみの手には、
スケッチブックも
しっかり握られていた。

このぐらいなら、
いつでも好きな時に
1人でも美術館
来れるよね

私は妹に言った。

パリに滞在中は、
妹は自由に
ルーブル美術館へ
出入りさせて
美術館賞させておこう
と思っていた。

ゆみが、
美術館で過ごしている間、
祥恵は船の中で
リモートを使って
会社の代表として
仕事を進めるつもりだ。

ここのところ、
日本からフランスへ来て
造船所からパリまで
ヨットの旅していたので
会社の事は置き去りだった。

社長としては、
少し仕事もしないと
ならなかった。

ゆみは、
ルーブル美術館の
アートの数に
圧倒されていた。

すごいわね

祥恵も感動していた。

学校で習った
絵画がいっぱいある

ゆみは、
名画の数に興奮し
イーゼルを立てて
模写しまくっていた。

他にも、ゆみみたいな
人がたくさんいるのね

祥恵は、
ゆみと同じように
スケッチブックを開いて
模写している人たちが
大勢いることに気づいた。

結局、
1日では描ききれず
ゆみは3週間ぐらい
模写しに
美術館へ通うことになった。

おかげで、
祥恵の方は船内で
仕事に没頭できた。

1週間の滞在予定が
パリには1カ月近く
滞在することになった。

祥恵は、
ゆみが模写している間、
美術館の吹き抜け、
上階にあるグッズショップ
を覗いていた。

ショップから、
下で模写している
妹の姿が見えた。

お姉ちゃん

ゆみが、
姉を見上げた。

大丈夫よ、
ここにいるから

私は、
模写しているゆみを
眺めながら、

この子は、
やっぱり美大生で
絵描きさんなんだな
と感じていた。

動物が可哀想って
医大を中退して
美大に入り直して
この子には良かったのね。

本当なら
高校卒業の時、
私が医大を受験するからと
ゆみも医大受験したり
しないで、

自分で
自分の進路は決めて
美大を最初から受験
しておけたなら
完璧だったのに。

そうすれば、
医大に通ってた
3年間を無駄に
しなくて済んだ。

お姉ちゃん、お昼は?

ゆみは、祥恵に聞いた。

あとで、
食堂に行きましょう。

私は、
お昼にゆみを連れて
美術館のレストランに
連れていった。

何を食べようか

私は、
ハンバーガーにした。

あまり1回の食事を
多く食べられない
妹は私と半分こだ。

ほら、こぼさないの

私は、
妹の口の周りを
ナプキンで拭いてあげた。

お会計は、
私が財布から出して
お店に支払った。

ゆみは、
プリンセストレーディング
で働いた給料を
直接会社からは
もらっていない。

お母さん指定の
ゆみの口座に振り込んで
振り込んだお金は
お母さんが管理している。

ゆみの欲しいものが
ある時は、ゆみが
お母さんにお願いし
買ってもらっている。

もちろん、
欲しいものすべてを
必ず買ってもらえる
わけではない。

それは我慢しなさい
とお母さんに断られる
こともあった。

ゆみ、帰りに
ブティックに寄って
お買い物しようか。

私は、
美術館の帰り
妹のゆみを連れて
パリの街を
ぶらりと散策した。

ゆみ、なんか
欲しい洋服とかある?

私は、ゆみに聞いたが
特に興味なさそうだった。

パリの街の
高級なブランド品が
並ぶ店には
興味を示さない。

あ、かわいい!

ゆみが、
興味を示したのは
大きな動物のぬいぐるみ
を色々売っている
店だった。

ぬいぐるみは、
いっぱい
持っているでしょう。

祥恵は、
ゆみに言った。

東京の家には、
2人の部屋には
タンスの上じゅう
たくさんの動物の
ぬいぐるみが並んでいた。

ヨットのキャビンにも、
いくつか持って来た
動物のぬいぐるみが
並んでいた。

ね、あれ
あの子かわいいよ

ヨットのキャビンに
いっぱい置いてあるじゃない

でも、セイウチは
1匹もまだいないよ

ゆみは、
ぬいぐるみを買って
と駄々とこねた。

ダメ!

私は、
駄々をこねる
妹を連れて
その店を後にした。

オフィススーツ

一軒のお店に
素敵なベージュの
パンツスーツがあった。

さすが、
フランスの服
なんかいいスーツ。

ヨットに
オフィス用の服
何も積んでなかったな

1着ぐらい
リモートワーク用の
スーツあってもいいかな。

私は、
思わず見つけた
そのオフィススーツを
購入してしまっていた。

仕事で必要だしね

祥恵は、小声で
自分に言い聞かせていた。

その帰り、
祥恵は、何気に
さっきのぬいぐるみの
店の前を通ってから
マリーナの船に戻った。

ぬいぐるみ屋の前で
セイウチのぬいぐるみ
の値段を確認した。

さっき、祥恵の
購入したスーツの
半分以下の値段だった。

まあ、いいか

祥恵は、
店でセイウチを手に取ると
レジに並んだ。

え、セイウチ君
いいの?

ゆみは、
姉に聞いた。

会計が終わって
店の外に出ると

うわ、嬉しい!

ゆみは、祥恵から
手渡されたセイウチを
抱きかかえた。

東京でお母さんには
いつも、ゆみに
甘いんだからと
言っている私だったが、

私も、ゆみに
甘いなと思っていた。

でも、このゆみの
嬉しそうな笑顔を見たら
買ってあげられずには
いられないよ

祥恵は、
妹の頭を撫でた。

お姉ちゃん、
ありがとう!

ゆみは、お礼を言った。

お母さんには内緒よ

うん。

そう頷いたゆみだったが
その日の晩には
お母さんとのLINEで
しっかり新しい仲間の
セイウチのことを
紹介していた。

誕生日とかでも
ないのに
新しいぬいぐるみ
買ってあげたんだ。

ゆみとのLINEが終わると
祥恵にお母さんは
ニヤニヤしながら
話していた。

なあに?
ほら、私も街で
素敵なオフィススーツ
衝動買いしちゃった
からさ、

私1人だけ
贅沢するのも
可哀想じゃない。

お母さんに、
なんとなく言い訳していた。

そんな私の言い訳を、
お母さんは、ふーんと
笑って眺めていた。

で、
ルーブル美術館の方は
どうだったの。

気に入ったみたいよ
明日も模写しに行くって。

私は、
お母さんに報告した。

明日は、
私はリモートで仕事あるし
ゆみ1人で行かせるけど。

1人でも大丈夫なの。

ゆみだって大人だし
街の中を抜けずに
直線でまっすぐ
マリーナから歩けば
5分ぐらいの距離だし

ゆみを
1人で行かせるのが
心配そうな母に言った。

大丈夫よ、
何も問題なし

祥恵は母に言った。

母にはそう言ったが、

次の日の朝、
ゆみが出かける前は
ゆみには念入りに
繰り返し注意していた。

いい、
マリーナを出たら
この道をまっすぐ
石段を上がっていけば
美術館にすぐ着くから、

他の道は
通ったらだめよ。

昨日の
美術館の帰りみたいに
街の方は行ったらダメ。

街の方は、
観光客とか移民とか
色々な人たちがいるから
危ないから、ゆみ1人では
ぜったい行かないこと。

私は、
何度も何度も繰り返し
妹に注意していた。

街の方へは、
私と一緒の時以外は
1人だけの時は
ぜったい行かないこと。

ゆみに約束させた。

過保護と言われてもいい
妹は私にとって
かけがえのない宝物なのだ。

今井家にとって
何よりも大切な宝物
なのだ。

約束よ。

私は、
美術館に出かける前
妹と指切りげんまんした。

我が家の宝物

それから、
ゆみは美術館に
出かけて行った。

私は、
ヨットのデッキから
ゆみがちゃんと
直線距離で石段を上がって
美術館に直行するのを
しっかり確認していた。

ゆみが、
ちゃんと美術館の中へ
入って行くのを確認し
キャビンの中へ入ると
リモートワークを始めた。

ただいま!

お昼の時間、
美術館からマリーナまで
徒歩5分の距離を
妹は戻って来た。

キャビンのギャレー、
キッチンで2人分の昼食を
作ると昼食になった。

昼食を食べ終わると、
ゆみは、また美術館へ
戻って模写の続きだ。

ちゃんと歩いてる

私は、
デッキから妹が
ちゃんと自分の教えた
ルートで美術館に行くのを
確認してから
午後の仕事を始める。

パリでの暮らしは
住処がヨットというだけで
ヨットの旅をしているというより
普通の日常だった。

でも、
こんなヨット暮らしもいいな
と私は感じていた。

私、なんか幸せだな。

私は、
プリンセストレーディング
の代表をしている。

平日は、
リモートでの仕事があるし
ゆみと遊んでいる時間はない。

ゆみは、
1人で美術館へ出かけて
模写をしていた。

私は、長野本社にいる
小倉まなみとリモートで
仕事の打ち合わせとか
忙しかった。

あ、祥恵さん、
車の落札できましたよ。

それは良かった。
おめでとうね。

もちろん、
小倉まなみだけではない。

プリンセストレーディング
は小さな会社だが、
他にも何人か従業員はいる。

彼らとの
コミュニケーションも
社長としての大切な仕事だ。

祥恵は、
時差の関係もあり
夜遅くまでリモートしていた。

ゆみは、
バスタブにお湯を張って
お風呂に入る準備をした。

水はヨットでは貴重だ。

お姉ちゃん、
先にお風呂入るね

ゆみは、
まなみと打ち合わせ
している祥恵に言った。

先に入っていいわよ

ゆみは、
1人でお風呂に入ると
ベッドに入った。

おやすみなさい

おやすみ

まだ会社の事で
打ち合わせしている
祥恵を残して
先に眠りについた。

私もお風呂入ってきたら
一緒に寝ようね

リモート会議を終えて
ゆみがもう寝ている
ベッドルームを覗き込むと
ゆみの寝顔に声をかけた。

私の妹ってかわいい

祥恵は、
ベッドルームの
寝ているゆみの寝顔を
見ながらつぶやいた。

完全に、
親バカ、妹バカである。

うちのお母さんも、
お父さんでさえも、
妹にはけっこう甘い。

今井家は、
完全に妹バカ家族だ。

まもなく
パリの街、このマリーナに
やって来て1ヶ月近い
日々が過ぎようとしていた。

今日の宿泊場所

お風呂を上がると
祥恵は短い髪を拭いて
パジャマに着替えた。

なんか髪伸びたな

鏡の中に自分の姿を
眺めながら思った。

パリにいる間に
美容院に行ってこようかな。

後ろ髪邪魔だし

祥恵の髪は、
肩につかないぐらいの
ショートヘアだ。

それでも、
長いと感じて
すぐ切ってしまうのだった。

明日、
日曜日だし、仕事も休みだし
美容院に行ってみるか。

ゆみの髪も
切ってもらおうかな。

妹のゆみの髪は、
ちょーロングヘアーで
毎朝、ブラッシング
していた。

自分が、
美容院で髪を切る時
ゆみも一緒に並ばせて
同じように短く
切ってあげても
良いかなと思うのだが、

ゆみの髪を
短くショートにしよう
ものならば、母親が
必ず文句を言ってくる。

ゆみちゃんの髪は、
女の子らしく長く
ロングヘアーなの。

ゆみ本人よりも、
母親の方がよほど
ゆみの髪に執着していた。

ちなみに、
母親の髪は
私よりも短い
ベリーショートだ。

ゆみの髪は、
女の子らしく長くて
いうけど、自分は
そんなに短いじゃないの。

私が母親に言うと、
母親は自分はおばさんだから
短くていいのよと返事する。

ゆみが、
おばさんになったら
ゆみの髪も
短くするのだろうか。

その話を聞く度に、
私はそう思うのだが
母親にはそのことは
聞けずじまいだった

ああ、やめたやめた。

明日、美容院に行ったら
私の髪はバサッと切って
もらうけど、

ゆみの髪は、
先っぽの方を少し
揃えるぐらいに
切ってもらうだけに
しておこう。

そのほうが、
ゆみの長い髪に拘りのある
お母さんに怒られなくて
済みそうだった。

続きは次のページ
進みましょう


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